こどもの困った行動、その原因と対処法について【part1】
子供を持つ方や、教育関係の職に就いている方であれば、時折感じる場面があるのではないかと思うのですが、子供というのは往々にしてこちらの思い通りにならないことがあります。
ある程度ならばかわいいものと思う事もできるでしょうが、こちらが看過できないほどの問題行動をしてしまう子供も、少なくはありません。
今回は、そういった子供の困った行動の原因と対処法について、沢山ある中から、3つのケースをピックアップしてまとめていこうかと思います。
【ケース1】人の電話や会話に口を挟む
皆さんは、誰かとの会話や電話中に子供から横やりを入れられた経験はありませんか?
ちょっとした雑談であればさほど気にすることではありませんが、大事な電話や個人的な相談などにまで口を出してきたり邪魔をされたりすると、満足に話を進めることもできなかったり、先生としての立場であれば、指導の進行に支障が出てしまいかねません。
私も、指導中に発した言葉に別の生徒が反応してしまうという場面は時折あります。
理由「黙らなければいけないことがわかっていない」
多くの場合、こういった行動をとる子供に、その行動に対して後出しで注意するようなことが多いのではないかと思います。
ですが、根本的に「なぜしゃべってはいけないのか」「なぜ自分は参加してはいけないのか」という事がわかっていない以上、そういった対応だけでは何度も同じことを繰り返してしまいます。
強い言葉で叱った結果その行動が収まったとしても、それは理解したからではなく、叱られることを恐れての結果であり、別の場面では同じ行動をしてしまう可能性が高いでしょう。
対処法「自分のターンに喋るということを教える」
先ほども言った通り、子供はなぜ自分が話してはいけないのかを理解できていません。
これを解決するためには、その場しのぎに叱ったりではなく、普段からコミュニケーションや会話のルールを伝える必要があります。
あらかじめ決まっている電話や面会等があるならば、
「これから大事な電話(お話)をするから、終わるまで静かにしていてね」
などといった言葉をかけてから開始してみてはいかがでしょうか。
前もって「終わるまで」という期限を伝えることで、「終わったら喋れる」という安心感を持たせることもできます。
そしてそのお話が済んだならば、我慢できたことをしっかり褒めて、お子さんのお話をたくさん聞いてあげてください。
「待っていればちゃんと構ってもらえる」
という印象を付けることで、この方法は効率を高めることができます。
もしもお子さんの年齢が低ければ、初めのうちは我慢できずに騒ぎ出してしまったり、「まだ?」といった声をかけてくることもあるかと思います。
そういった時に気を付けてほしいのは、そういった際に叱りつけたり、次に同じような注意をするときに「前みたいに騒いだりしないでね」などと言って蒸し返したりしてはいけないという事です。
何度も繰り返し同じ注意をして、結果を急がずに少しずつ成長を促すというのも、親や大人の役割ではないかと思います。
【ケース2】あれ買ってこれ買って
親子でスーパーなどに買い物に行った時、お子さんのこういった言葉に手を焼いた経験はないでしょうか?
実際コンビニやスーパーなどでの買い物中に、大声で泣きながらこの言葉を叫んでいる子供を見かけることも、少なくありません。
一見するとこの行動、ただ堪え性のない子供のワガママに見えますが、実はこれには大人が気付きにくい理由が隠れている場合があります。
理由「買い物に目的があることを知らない」
小さなお子さんをお持ちの方ならば、普段から日用品や食材の買い物などにお子さんを連れていく事もあるかと思います。
その場合、その日購入するものをメモやリストにすることもあるかと思いますが、そのことをお子さんは知っていますか?
その情報を共有していないのであれば、ただ買い物に付き合っているお子さんからは、「自分だけ好きなものを買っている」というように映っているかもしれません。
そうだとしたら、
「お母さんばっかりずるい!僕にも買ってよ!」
などといった思いが膨らみ、この言葉や行動に結びつくのは必然であると感じます。
すべての場合がこうであると断言するわけではありませんが、ある程度こういった流れからこの行動に行きついてしまった場合も、少なくないのではないかと思います。
対処法「一緒に買い物リストを作る」
文字が読めるくらいの年齢のお子さんであれば、買い物に出かける前に、一緒に買い物のリストを作ってみては如何でしょうか。
晩御飯の材料や不足している日用品、買い置きのおやつなどといった、その日に購入するものを一緒に考えることで、その買い物にはきちんと目的があるという事を理解させることができます。
※実際には既に決まっていても、一緒に考えるフリだけでも構わないでしょう
また、作ったリストをお子さんが読める文字で書いたものを渡し、時折「あとなにか買うものあったっけ?」といった声をかけてあげることで、お手伝いをしている感覚に夢中になってもらう事もできるでしょう。
また、この方法にはもう一つとある副産物が見込めます。
それは、「目的をもって行動する」という事を学習させる効果。
以前の記事でも述べたように、何かをするときに、目的をもって行動するか、ただ行動するかでは効率も得るものも段違いです。
こういった考え方や習慣を幼いうちから身に着けることができれば、お子さんの成長や将来にとって、非常に大きなメリットとなります。
【ケース3】乱暴・雑な言葉遣い
皆さんの身の回りに、こういった子供はいませんか?
私の生徒の中にも、普段の言葉遣い乱暴であったり、ほぼ単語でしか会話をできない子がいます。
もともとの性格がそうさせているのか、普段の生活故のものなのかによっても変わりますが、はっきり言ってそういった言葉遣いはその子の人生において決してメリットにはなり得ないでしょう。
そして、こういった性質にも、理由があり、それを紐解いていく事で見えてくる対処法もあるます。
理由「その言葉遣いを許されている」
これに関しては本当に単純です。
家庭や学校、その他の環境において、乱暴であったり雑であったりという言葉遣いが通用してしまっていることが、この問題を助長させているのです。
例えば
・ゲームをしたい時に、「ゲームさせろ」と言われたが忙しかったのでゲームすることを認めた。
・おやつを食べたいときに「おやつ」としか言われなかったが食べたいことはわかったので出してあげた。
こういった、大人側の都合や、意図を察することによって、「人に対する言葉を選ぶ」「自分の意思を表明する」という能力の発達を阻害してしまっているのです。
稀に、友人や近しい大人などの口調を真似しているというパターンもありますが、本を正せばこういった問題に繋がっているのではないかと思います。
対処法「正しい言葉遣いでない要求は拒否」
問題がシンプルなら、対処法もシンプルです。
先ほどの例の「ゲームさせろ」に対しては「ゲームをしてもいい(ですか)?」、「おやつ」に対しては「おやつをください(ちょうだい)」といった、納得できるような言い方に訂正するまでその要求を認めないという対応を徹底するのが最も効果的です。
ただ、大抵の場合において最初の内は自分から正しい要求の言葉はなかなか出てきません。そういう言葉を考える習慣がついてないのですから、当然です。
「させろ、じゃなくて、してもいい?と聞きなさい」
というように、しっかりとお手本を示してあげる必要があるでしょう。
そうした対応を繰り返すうち、同じような要求であれば徐々に訂正せずとも教えた通りの言葉を使うようになってきます。
そうなってきたタイミングで、自分で言葉を考えさせるように移行すればよいのです。
その際にもう一つ大事なことですが、訂正する際には決して怒りながら訂正してはいけません。
「なんだその言葉は!!」
などと叱りつけるのではなく、「そういう言葉を使ってほしくない」「ちゃんと教えてほしい」という思いを伝える為の行為であるという前提のもと、愛情を込めて実行してください。
そしてこの、「自分で言葉を考えさせる習慣」を身に着けさせることが最も重要で、これを怠ってしまった場合、家庭ではそういった言葉を使う一方、目の届かないところでは全く改善していないという事態に陥ってしまいかねませんし、そうなってしまった場合、手遅れになるまでそれに気付くことができない可能性もあります。
そうならないためには、この方法をしっかりと貫徹しなければならないでしょう。
「せっかくの旅行だし、今日くらいは・・・」
「誕生日くらいは大目に見てあげよう」
といった考えは一切捨て、徹底することが子供の為には必要だと考えます。
まとめ
本日紹介したものはほんの一部であり、それ以外にも、子供がとりがちな困った行動というものは多々あります。
今後、シリーズとしてこういった行動の原因や対処法などを紹介していく予定ですので、子育て中の方や子供とふれあう機会が多い方、子供が好きな方、他にも少しでも興味を持っていただける方がいらっしゃいましたら是非参考にしていただければと思います。
もし取り上げてほしい子供の行動などありましたら、コメントやSNSなどで教えて頂けると嬉しく思います。