そろばんおじさんの毎日パチパチ

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東北地方で細々と珠算教室を営むおじさんの綴るあれこれブログです。

【生徒の喧嘩に俺が出る!!】裁判官ではなくレフェリーとして、子供の喧嘩に向き合おう。

こども達を対象にした仕事をしているので、時折喧嘩や言い争いが起こることは定期的にあります。お子さんのいる家庭でも、兄弟間や友人間でそういったタイミングはあるのではないかと思います。

そういった際に、皆さんならどういった対処をするでしょうか?

仲直りさせたり、喧嘩を止めたり、様々な対処法があると思います。

ただ多くの場合では、その場を治める対応がほとんどではないでしょうか?

正直なところ、この対応に関して、私は昔から疑問を感じていました。

確かに、授業や指導に支障が出てしまうのは困りますので、迅速に解決しなければならないのも事実です。

今回は、そういった喧嘩や言い争いに対する私の対応をまとめていこうかと思います。

 

 

 

前提「喧嘩は悪なのか?」

・根底にある不満

少し脱線するのですが、私は小中学校の頃、とても喧嘩っ早い生徒でした。

喧嘩っ早いといっても、他校の生徒と殴り合ったりといった不良的なことはなく、同級生とのいさかいが絶えず、納得できないことがあると頻繁にトラブルを起こしていた、という意味ですが。

そういった際に、大抵は担任や近くにいた先生が仲裁しに来たのですが、その仲裁の仕方に私は納得ができませんでした。

喧嘩やトラブルには理由があります。今考えれば些細な理由だったのでしょうが、当時としては真剣に憤り、しっかりと解決したかった問題だったはずです。

そういった心情を考えず、とりあえず目の前のトラブルを解消するための対応が、当時の私にはとても納得できませんでした。

確かに、教師という職業からすれば生徒間のいさかいを仲裁するのは当然ですし、次の授業などに差しさわりが出ては困りますので、そういった対応は当たり前だと今はわかります。

ただ、当時はそういった対応をされ、表面上の仲直りを強制されることに、強い不満を持っていたのも事実です。

「なんで理由も聞かずに止めるんだよ」

そういった思いが、ずっと私の中にはあったように思います。

・今になって思う事

そういった不満を抱えていましたが、今自身の立場になってみて、思っていた以上にこの生徒同士のいさかいや喧嘩というものは指導に支障があるのだと実感します。

一時期は私も、とりあえずその場をいさめ、場当たり的な解決をしていた時期もありました。

ですが、そういった対応をした後では明らかにその生徒の集中力は低く、こちらに対して明確な不満を持ってしまうため、どうにも指導がうまくいかないと気が付きました。

そういった生徒が一人いることで、低学年であれば特にそうですが、他の生徒にもそのやる気のなさや不信感は伝染してしまうもので、一歩間違えばそのままその日の授業がまったく意味のないものになりかねません。

ですので、こういったトラブルは決して放置はもちろん、表面的な対応では結局こちらにとっての不利益を生み出してしまうのですから、根本的な解決をしなければいけないのではないかと考えるようになりました。

 

実践・どう対応する?

さて、では実際に私が普段教室でこういったトラブルにどのように対応しているかを書いていこうかと思います。

1・聞き出し(1分程度)

これがまずは基本です。

この段階で原因を聞きだすことができるのであれば解決は比較的容易なのですが、たいていの場合はそうもいきません。

ですので、ここでは実際の原因を聞きだすことよりも、興奮状態にある生徒の精神を落ち着かせる意図が強いです。

ここで私が聞かないようにしているのが、どちらが悪いのかということ。

どちらかに非があるとしても、その段階では双方興奮しており、「そっちが!あっちが!!」となってしまうだけで時間の無駄になることが目に見えています。

2・書き出し

私の教室には、生徒が他の生徒に聞かれたくない話だったり、ちょっとした質問があるときなど、多用途に使用するメモ用紙が常備してあります。

(これはちょっとおすすめです。一対一での意思疎通ができるツールとしても優秀ですし、ちゃんと返事を書いてあげれば、指導外での信頼関係の向上にもつながります)

これを一枚ずつ渡し、原因や悪かった点などなんでもいいので、自分なりにそのトラブルに対して思う事を書いてもらいます。

書き終わったら持ってくるように伝え、それまでは絶対にそろばんやプリントには触らせませんし、こちらからは書けたかどうかといったことも一切聞きません。

意外と、そういった状況にあると子供たちは素直に従ってくれるもので、今のところこれを拒否したり、都合のいい内容を書いてくる生徒はほんの一部のみで、ほとんどの場合きちんと本当のことを書いてくれます。

当初これをさせた時は、双方の意見を聞くとともに、そのトラブルをきちんと整理させ、興奮状態を落ち着かせるためでした。

ですが、主に高学年の生徒を中心に思っていなかった効果もありました。

ある程度時間が経ってから原因や憤りを文字にすることで、自身にも非があったり、言いすぎてしまった言葉などを反省し、自発的に相手に謝罪したりという場面が何度かあったのです。

こういったパターンはあまり多くはないですが、原因を反省し自発的に解決するという流れは、個人的には最も理想的でないかと感じますね。

3・確認と促し

先ほど少し触れましたが、ごく稀にではあるものの、自分に都合のよいことを書いてくる生徒もいます。

双方が書いてきたメモを確認し、概ね齟齬がなければそのままですが、もし食い違いがある場合はしっかり確認して、概要を確認します。

この段階で、どちらに非があるのか、そもそもどちらも悪い部分があるのかなどは把握できますが、だからといってそれを基にこちらからその場での謝罪を促してしまっては結局不満が残ることを私は知っています。

ですが、メモを書いて事実を確認している以上、当事者はどちらが悪いのか、自分は何がいけなかったのかを既に自覚していますので、ここまで来ればさほど多くの言葉は必要ないでしょう。

「謝りたいと思ったら、ちゃんと謝ろうね」

私は大抵の場合、こういった言葉がけをして終わりにします。

実際に謝るかどうかと聞かれれば、実際はわかりません。ですが少なくとも、表面上だけ仲直りをさせる対応をしてしまっていたころと比べると、後々にその人間関係に禍根が残るような結果は少なくなったのではないかと感じます。

 

まとめ【なぜ手間をかけるのか】

はっきり言ってしまえば、単純に効率を考えるならばこんなことをせずに場当たり的な対応をしてしまったほうがいいのかもしれません。

あくまでもそういった教育姿勢は家庭や学校の反中であり、それはそろばん教室の講師がするようなことではないと思われてしまうかもしれません。

私がこういった対応を心掛けている理由は、ただ自分が少年時代に感じていた不満を生徒に抱えてほしくないという個人的な事情によるものです。

大人から見れば些細な問題でも、当人からすれば見過ごせないだけの理由があります。

問題が解決していないのに、「握手して、はい、仲直り」というような解決を私は心の底から下策であるとし、問題を抱えた本人達の人格を無視して、大人という立場で物事を判断してしまう事に疑問を感じ、このような方式をとっています。

これを絶対的な正解とは思っていませんが、今私ができる最善の方法ではないかと考えています。

他にももっと優れた方法を採用している方がいらっしゃいましたら、是非ともお教えいただきたいと思います。