そろばんおじさんの毎日パチパチ

そろばんおじさんの毎日パチパチ

東北地方で細々と珠算教室を営むおじさんの綴るあれこれブログです。

辞め時を決めるなんてもったいない!!珠算学習に終わりなし!!!

  四月も十日を迎えたというのに、昨晩の降雪で朝は冬のを忘れさせてはくれぬ寒さにより布団から抜け出すのが大変でした。既にスタッドレスからノーマルに履き替えた方も多い中で、若干の道路状況への不安もありましたが、どうにか無事帰宅し、この記事を書いております。

 さて今回ですが、教室に通って頂いている生徒さんの中に時々いる、とある性質の生徒さんについてを考えていきたいと思います。

 

 

 

【○級までやったらやめる】という生徒

 今回のテーマは、こういった生徒についてです。おそらくですが、どの珠算塾でも一人はそういった生徒がいらっしゃる、もしくはいらっしゃったことがあるのではないでしょうか?

 私の教室にも、こういった事例は何度かあり、現状でも一名、そういった生徒が通っています。優秀な子で、これからは競技も視野に入れて指導をしようかと考えていた矢先に、

「私2級合格したら辞める」

と宣言されてしまいました。

 お話を聞いてみると、どうやらその子のご両親も過去にそろばんを習っており、お母さんが2級を合格してそろばんを辞めたというのがその発言の根拠だったようです。

 思い返してみれば、過去にも同じような例があり、これまでなぜその問題に対して無頓着であったのかと後悔の念が湧き出てきました。

 ですので、今回はそういった生徒の傾向を考え、有効な対策はないかと考えてみましたので、まとめていこうと思います。

 

【最終目的】を決めてしまう生徒の傾向と対策

 まず、同じようなパターンとしても、その背景事情は様々です。ざっくりとまとめてみましょう。

 

1・一定の学年に進級するタイミングで、学習塾に切り替えることが決定、もしくは検討している。

 最近ではこのパターンが多いように思います。

 

 以前の記事でも言及したように、こういったケースでは生徒本人としてはそろばんを続けたいという意思が残っている場合がありますので、保護者との面談や、両立するためのプランを提案するといった対応が有効になるでしょう。

 事実として、先月をもって退会を考えていた生徒が一人、ひとまず両立を目指すということで留まってくれましたし、それまでも数名は両立という道を選んでくれ、結果として教室を引っ張る存在にまで成長してくれた時もありました。

 そういった経緯から、普段の授業態度を鑑みて、もしも少しでもそろばんを楽しんでいる様子が感じ取れたならば、その生徒には両立を勧めるべきと考えています。

 過去の事例などをまとめて、保護者に訴えかける資料などを作成するのもありかもしれませんね。

 

2・「○級まで合格したら辞めていいよ・合格するまで辞めちゃダメ」と保護者に言われている。

 このケースが個人的には最も厄介なように感じます。

 教室でいくら信頼関係を築こうとも、こどもにとって親の言う事や家庭で見聞きした事は基本的に絶対に近い価値観として刷り込まれてしまい、こちらと保護者とが違った意見を述べた時、高確率でこどもは親の意見に従うでしょう。

 そういった条件下で、お父さんやお母さんからこのような言い回しをされてしまえば、その生徒はその級を合格することが目的になってしまいます。

 そしてそれは、次のような弊害を引き起こします。

・その先を考える必要がないから、その為の練習しかしない。

・「辞めてもいい」という言葉によって、いつしかそろばんを面倒なものと感じてしまう。

・「○級で辞める」という宣言を他の生徒にしてしまい、それに引っ張られた生徒にもそのスタンスが伝染する。

 ほかにも沢山の例があるでしょうが、これらは我々珠算講師にとっては何一つプラスになりません。

 

 では、これを改善するためにはどうするか、あくまで私のやりかたですが、一番初めの体験入学や概要説明の際に、そういった言葉を極力避けて頂くようにお願いをするようにしています。

 ただお願いするだけではあまり説得力がないので、前述した弊害や、それに伴う学習意欲への影響などを(少し大げさに)説明し、珠算学習に終わりはない、というイメージを丁寧に伝えるようにしています。

 実際、その話に保護者が納得して頂けた生徒からは、こういった言葉は出なくなったように感じます。

 しかし、これだけでは足りない。もっと効果的なノウハウをご存知の先生がいらっしゃいましたら、是非ともそのお知恵をお教え頂きたいです!!

 

3・「お父さん・お母さんがここまで合格したから僕・私も!!」

 このタイプ、こっちからすると本当に「なんでやねん!!!」って感じですよね。親を超えろよ!!とか思ってしまいます。

 特に、兄や姉が合格した級や段位を最終目標にしてしまうケースの多さがとても辛いですね。

 以前いた例ですと、お兄ちゃんが六年生の三月にギリギリ受かった一級を、三年生で合格した生徒がおり、これから伸びるぞ!代表選手にするぞ!!とこちらが意気込んだところで「やめます」と言われた瞬間の喪失感は今でも思い出したくないものです。

 その子に関しては、結局続けてくれたのですが、その要因はお母さんが継続を希望してくれたことが大きい要因だったように思います。とはいえ、他の習い事の人間関係で疲れてしまったようで、半年で教室を去ってしまったのですが・・・。

 このタイプに関しては、正直ご家庭で珠算教育に対する期待がどの程度なのかによってその後が決まってしまう部分があると思います。指導を通じてどれだけこちらの熱意を理解してもらうか、いかに生徒本人にそろばんを好きになってもらうか、といった部分が重要になるのかなと考えます。

 

「辞める」理由を超える「続ける」理由を!

 結局のところ、一定のラインをもって学習に区切りをつけてしまう生徒の大多数は、さほど大きな理由もなく決めてしまった目標に引っ張られているに過ぎないのではないでしょうか?

 そして仮に、根拠をもって辞めるという方向に考えているとしても、こちらから適切な案を提示することで継続してくれる生徒は少なくないと考えます。

 この記事の中でもどこかで書きましたが、

珠算学習に終点無し

 というのが私の指導における最も根本的な考えです。

 せっかく始めた珠算という文化ならば、簡単にゴールを決めず、限界まで高みを目指してほしいと思うばかりです。

 そして、その為には指導者たる私自身がその考えのもとに行動し、伝えていかなければと感じます。