地域の教室による【総合的教育ネットワーク】を構築したいという話。
ネット上で様々な方とお知り合いになることができ、そういった方々と通話などでお話することが多いのですが、先日とある地方でプログラミング教室を営む方とお話する機会がありました。
その方の教室も地域のコミュニティセンターを借りて運営しているという事で、経営体制やメインターゲット層が私の教室と似ていることもあり、かなり長い時間為になるお話をさせて頂いたのですが、その会話の中で少し印象的なものがありました。
今回の記事は、その内容について私が提唱する案を紹介していこうと思います。
- 地域の教室を繋ぐネットワークの構築を
- メリット1【情報共有】
- メリット2【生徒の安全確保】
- メリット3【共同事業・イベント】
- メリット4【提携することにで様々な通学パターンに対応】
- 他にも様々なメリットが
- おわりに
地域の教室を繋ぐネットワークの構築を
「習い事は互いに商売敵であるという意識が強いけど、協力したほうがいいのではないか」
これは少し前から思っていたことです。
子供の数が減っていることに加え、そろばん、習字、水泳、公文といった昔からある習い事以外にもプログラミングやダンス、英会話などの時代のニーズに合わせた習い事の台頭もあり、はっきり言えば生徒の取り合いが激化している現状です。
以前の記事で触れたように、首都圏を中心に学習塾へ転換する学年が徐々に早まってきていることもあり、その状況が根本的に変わることは難しいのではないかとも思います。
ですが、このままでは珠算界のみではなく習い事という業界自体が、大手グループ系列の教室や塾に征服されてしまう未来が待っています。
地方の商店街が大型ショッピングセンターの台頭によって打撃を喰らい、最悪廃業してしまった経営者もでたりという時代が、この習い事という業界にも急速かつ確実に迫ってきているのです。
であれば、今のように自身の教室経営のみを考えて他の習い事を競合として考えるのではなく、地域全体を考えたネットワークを構築し、互いに情報を積極的に共有するような姿勢をとらなければいけないのです。
ここからは、そういったネットワークを構築することのメリットを考えていきましょう。
メリット1【情報共有】
同じ地域でも、それぞれの教室では通っている生徒が違います。生徒が違えば、それによって得ることができる情報も変わってくるのは必然です。
例えば小学校でおこった同じ出来事に関しても、その情報を持ってくる生徒が違えばこちらが得られる情報にも差異が出てきます。
こういった仕事では、地域における情報を得ることは非常に大事なことで、より早い、より正確な情報ほどありがたいものです。
比較的私の住んでいる地域は治安が良く、あまり事件というものが起こることはありませんが、それでも不審者が出没したり、山が近いこともあり春には熊の出没などの情報も出てきます。
生徒を預かる身として、通学時の安全は確保したいものです。その観点からも、各経営者同士が互いの持つ情報をこまめに共有することで、より生徒の安全性を高めることもできるのではないかと思います。
また、地域の複数の教室に通っている生徒も多数いますので、そういった生徒に関する情報を提供しあう事でより良い指導に繋げることも可能でしょう。
これに関しては、該当する生徒の保護者へ了解を取る必要がありますが、個人情報としてではなく、指導の質を向上させるための情報に限れば、理解を頂くことは十分可能なのではないかと考えます。
メリット2【生徒の安全確保】
前項でも触れたことですが、情報の共有のみではなく、有事の際に助け合える環境を整えることもできます。
例えば通学中、不審者に遭遇してしまったとします。
そういった際に、近くに逃げ込める場所があるか否かでその後の展開は変わってくるでしょう。
各地にあるそれぞれの教室を、そういった緊急時の避難先として生徒に周知しておくことができれば、生徒自身、そして各家庭の安心感を得ることに繋がります。
中には、そろばんが終わったら別の習い事、またはその逆というパターンといった生徒もおりますので、そういった場合にも教室を出た、教室に到着したという情報を共有できれば、こちらも安心することができます。
広範囲から生徒が通っている教室であれば、通学に対して保護者が不安を感じるのは当然です。そういった不安をほんの少しでも解消することができれば、習い事へ前向きに考えてくれる家庭も増えてくるのではないでしょうか。
メリット3【共同事業・イベント】
1・イベントの規模を大きく出来る
多くの習い事では、定期的なものや突発的なものもあわせて、なにかしらのイベントを開くこともあるかと思います。
ですが、生徒の人数によっては盛り上がりに欠けたり、どうしても小規模なものしか開催できないということもあるでしょう。
もしこのようなネットワークを構築すれば、各教室の生徒を集めての交流会やイベントを開くこともできます。
各事業者の負担も軽減することができますし、参加者が多いことで教室単位のイベントよりも盛り上がりを期待することができます。
人数が増えることで、チャーターバスを利用した合同遠足などといった、単一の教室では難しいイベントを開催することも、ハードルを下げることができるでしょう。
2・保護者にもメリットのある共同事業
近年共働き世帯が増えたこともあり、習い事をさせようと考えている保護者は多いものの、各教室に説明を聞きに行ったり、体験学習に行く時間を確保することが難しい家庭は少なくないように感じます。
そういった家庭へのアピールとして、参加教室の共同出資で会場を借り、小学生や保護者向けの教室説明会などを開催することもできます。
平日に時間を確保できない保護者からすると、そういった合同説明会を開催することで地域の様々な教室を一度に知ることもでき、複数の教室に通う際の通学プランを検討することもできるのです。
メリット4【提携することにで様々な通学パターンに対応】
先ほども触れたように、複数の習い事をしている生徒というのは多く、場合によってはその都合で通学日数や時間を調整することも少なくありません。
そういった際に、地域内で提携、もしくは協力することで、複数の習い事を両立する上で積極的なサポートを行うことができ、検定試験・発表会・競技会などの日程を共有することで生徒への負担を考えたプランニングが可能になります。
保護者によっては各習い事に優先順位を付けることも多いようですが、そういった意向を踏まえ、より効率的な学習を後押しすることもできるでしょう。
他にも様々なメリットが
大きなメリットとして考えられるのはこのくらいですが、他にもこまごまとした可能性が考えられます。
・共同での塾報・会報の作成
そろばん教室の塾報には、基本的にそろばんに関する情報が載っています。書道なら書道の情報。
ですがこういったネットワークを作れば、多種多様な習い事に関する情報を得ることができますし、経営者としても他の教室に負けたくないという気持ちが湧き出てくるでしょう。
また、分担での記事作成をすることにより個人ごとの負担軽減にもつながります。
習い事に限らず、地域の様々な情報を取り入れたり、ちょっとしたコラムなどを設けて内容の充実を計る余裕も生まれるかもしれません。
・定期的な組織内表彰なども
珠算連盟での優良生徒表彰があるように、ネットワーク内でもそういった表彰式や記念式典のようなものを開催してみるのも面白いかもしれません。
小学校の頃の集会で、全校生徒の前でバスケや水泳の賞状を貰った時の嬉しさは今でも覚えています。(残念ながらそろばんで競技会に出たことはほとんどないんですよね・・・)
そういった経験を増やすことで、地域の子供たちのモチベーションをアップさせることができるのではないかと考えます。
また、そのようなイベントがあることで、学校などで習い事の話題が増えれば、そこから興味を持って習い事を始める児童も出てくるかもしれません。
おわりに
今回は地域教室でネットワークを構築することのメリットについて考えてきましたが、もちろんデメリットもあるかと思います。
それぞれの教室の情熱に大きな差があれば、共同での作業の比重が偏ったり、足を引っ張りあう結果に終わる可能性も、十分に考えられます。
ですが、そういったリスクを恐れていても、先ほど触れた時代の変化に対応することはできず、いずれ衰退していくのは目に見えています。
そろばんだけ、習字だけという、個の力だけではなく、相互協力による円の力を高めることで、一層有効な教育体制を地域にもたらすためにも、こういった取り組みはこれから必須になっていくのではないでしょうか。
私も、まずは近隣地域のさまざまな教室を経営している先生方と協力して、このネットワークが実現できるよう努力していこうと思います。